フローティング・オペラ  ジョン・バース 著

osamuoh2009-05-15



バース氏の、”旅路の果て”とこの”フローティング・オペラ”は、まだ作風が写実的で、実存主義的な雰囲気の頃であったらしい。”キマイラ”あたりから、ポスト・モダン的な作品に移行していったらしい。


バース氏のこの頃のアメリカは、まだ、”フリーセックス”や”スワッピング”などと言う言葉が、まだ新しい響きを持っていたと思われる。



この頃のバース氏の主人公も、その荒波に揉まれて、そのような自由なセックスに手を染めるのだが、何故かと言うべきか、やはりというべきか、主人公は、やがて自殺などを考えてしまう。まわりの誰からも、非難されたり、禁止されたりしていないのに、その反対に奨励されたりしているくらいなのだが、やがて自殺を考えるほどに落ち込んでしまう。そういった点が、不可解といえば不可解だ。



月並みな解釈だが、林檎の木の実と引き換えに、楽園を追放されるといった感じだろうか。



それと、この作品とは関係ない事だが、アメリカでも日本と同じように、学歴偏重社会というものがあるのだろうか。日頃、ポップなアメリカの大衆文化にしか接していない僕のような者には、急に、アメリカのエリート主義のようなものに遭遇すると驚いてしまう。マネーが物を言う社会とは聞いていたが、学閥エリート主義がアメリカにもあると考えると、やはり夢が覚めてしまい。ショックを感じてしまう。アメリカにも”良識ある文化”などと言っている内に、急に、エリート主義などというものに遭遇してしまって、夢が覚めてしまった。