囚人のジレンマ   リチャード・パワーズ 著、

           2007年、みすず書房 刊、

翻訳された物を読んで、文体の事を言うのはナンセンスだが、ロス氏や、ベロウ氏の頃の作品に比べると、文章だけはやけに軽い文章になっていた。日本で言えば、ライト・ノベルの文章に近い感じ。それが、作者の青二才風な甘い風貌と相まって、魅力と言えば言えるかも知れない。作者は、元々、理科系の人であったらしいから、現代のコンピュータ世代の肌合いに良く合うのかも知れない。


気に入らないのは、その甘い美青年風の風貌かも知れない。おまけに、あなたに科学の何が解ると言われているようで、ちょっと気に入らない。これも時代の流れか。


お話は、お父さんが、少しオカシクなってしまう話なのだが、その父親の戦争時代の話と並行して話が進められ、ナチスなどがやたら権威的で恐ろしいことを考えているに、アメリカ人として、ディズニーのミッキーマウスなどの事が、アメリカ人の心情的支えになっていたというのが、アメリカ的で凄い。


作者は、今の日本の、オタクブームをどう考えているのかは良く解らないが、現代の日本の若者には、十分通じる感覚であると推察される。

しかし、作者が甘い男前であるというのは、どうも苦手だな〜。ヒガミでしかないけれど。