素粒子     ミシェル・ウエルベック 著

          2001年 筑摩書房 刊、

生物学の研究者の兄弟と国語教師の主人公の話。


主人公が生物学や、哲学の最先端の研究をしているうちに、何故かセックス至上主義者になっていく。

本書では、スワッピングクラブに主人公が飛び込んでいき、破滅する物語であった。

僕個人としては、性的な事を、その他大勢の見知らぬ男たちと共有しようとする気持ちがあまり良くわからないのだが、やはり影でひっそりとのほうがしっくりくる。

主人公と作者のイメージがダブルのだが、作者のポートレイトを見る限り、勉強はかなりできたようだが、そのせいか肉体的にかなり虚弱な風であり、そんな作者がセックスの世界に猛烈に突撃する姿が、どことなく痛々しい。作中でも、頭皮は薄くなるし、短小であるしなどと、かなり自虐的に主人公が描かれている。


当然の事ながら、セックス至上主義の思想は、フランスカソリックなどから、かなり批判されている様子であるとの事。