幸福の遺伝子   リチャード パワーズ著、

          2013年 新潮社 刊、

大学で日記の書き方を指導している、作者とダブったイメージの、良心的だが、地味すぎるような主人公は、早々とクビになってしまい、問題になる女性学生さんが、いつも幸福であるのは、遺伝子のせいであると大学のアカデミズムが騒ぎ出し、あくまで女性の人間性や、心などという存在は、意地でも認めようとせず、終いには、その遺伝子を公共の物として、社会に提供すべきだという話になってしまう。


ここで、大学をクビになった主人公は、大きなため息とも諦めともつかないような、感慨を感じさせ物語は終わるのだが、そんなに大学のアカデミズムは非常で冷たい所なのかと、少しショックを受ける。

大学教授で、翻訳家の山形浩生氏が、パワーズの作風を酷評しておられ、驚いた。こんな作品を読むより、SF作品をよんでいるほうがマシであるといったような論評であった。

たしかに、パワーズ氏は、間違ってもセックスなどの事は書かないであろうなと思われるような、潔癖で良識の人であるような感じがする。そこが良い所なのであろうなと思われる・・・・・・、。