虚人たち 筒井康隆
筒井康隆氏の著作を読んでみた。
1980年頃の作品らしい。
ちょうどこの頃、プルーストの翻訳や、ジョイスの翻訳が話題になっていたと思う。
その影響もあってか、筒井氏の文章は、かなり長いセンテンスになっていた。
よく読んでみると、”化学の分析”のような文章で、本来なら、内的独白の内面描写であろう文章が、”金属”ののように”硬質”で”メタリック”に塗り固められているように感じられ、まさに、”サイエンス”、”科学”を第一とする者にしか書けないような文章だと思われた。
現実では絶対に行われないであろうような、会話や、非現実的ようで、妙に現実的なお話の展開は、まるでシュールな不条理劇を見てるようだ。
初めて、このような作品を読んだが、このような芝居がもし行われたら、ユーモアを感じる観客もいるのではないかと思った。
帯の解説では、小説を否定する小説と謂われていた。
筒井氏は、小説を否定したかったのだろうか?
僕個人としては、このような、科学的言説に特殊な実験のある文学作品は、初めてであり、とても新鮮であり驚いた。