眠れ悪しき子よ    丸山健二 著

           2011年 文藝春秋社 上下 刊、

とにかく、”孤独”ということの感じが、全編を被っていた。


作者は、悠然と山で、完全に孤立して、唯我独尊のように、悠々しく立っているようで、都会のゴミゴミした惨めな生活者としては、非常に憧れる。


しかし、生活者としての作者の孤独感は、ちょっと半端でなく、へたをすると暗黒地獄になってしまうように、スレスレだ。しかし、作者のまわりの豊かな自然は、さわやかに美しそうで、ホッとする。


スキンヘッドにしておられるようで、どう見ても、客観的にみて、都会では、まるでヤクザだが、作者は、あらゆる無駄ななものを徹底的に排除しておられるので、非常に清潔な印象をうけ、見方によっては、モダンで、未来派のようなカッコ良さが感じられる。不思議な作者だ。