メキシコの夢   ル・クレジオ 著、

          1991年、新潮社 刊、

本書によると、マヤ文明インカ帝国インディオは、基本的に”太陽”を信仰していたらしい。太陽神への捧げものとして、人身供養として、生きた人間を殺して捧げる儀式が有名であったらしい。この文明も、少人数のスペイン人によってあっというまに滅ぼされてしまったらしい。クレジオ氏によると、インディオの持っている黄金と、スペイン人のガラス玉とが交換されたと、かなり残念そうに語っておられれた。


有名な、ナスカの地上絵も、”太陽信仰”の一貫として、太陽や月や星への祈りの一貫として推測されるらしい。基本的に人間に見せるものではなく、太陽の神に示す為であったらしい。


インディオには、言葉や文字が残っていないのに、何故クレジオ氏がそこまで思い入れをなさっているのかは、ちょっと解らなかった。ストロース氏の”悲しき熱帯”というタイトルに”悲しい”という言葉がついているのが象徴的に思える。真っ赤に燃える太陽に溢れているのに、何故か”悲しい”と言う感じが意味深だった。