ゴーストの条件  村上祐一 著

           2011年 講談社 刊、


本書を読んで、本来、”オタク”と呼ばれる文化は、本書で述べられているような、陰々鬱々とした感じであったな〜と、オタクとは門外漢な自分でも痛感した。東浩紀氏や、村上隆氏などの派手で、明るい感じの旋風に吹かれて忘れていた、本来のオタク呼ばれるものの暗い面を思い出させられたような感じがした。


本書は、それほど鬱々した分析の文章で満ちていた。東浩紀氏の道場で第一位に選ばれたにも拘らず、一位でない人達のほうが早く世に受け入れられるという皮肉な現象が不思議であった。


それにしても難産な書籍であったな〜。もう道場決戦などとうの昔に忘れ去られたあと、何年も経ってようやく発表された書籍であった。しかも、これが本来のオタクと呼ばれる人々の分析かと、その暗さにショックを受けた。


鬱々していると、しつこく述べたが、ここに紹介されている作品など身近で、あたりまえの、本来のオタクの人々には、丁寧な作品分析が、優しく心に響いているのかも知れない。


それにしても、僕のような気の小さい者には、恐ろしいほど暗い評論であった。

最後に、著者が”死ぬな!”と訴えかけているのが、妙に心に残った。