コズモポリス  ドン・デリーロ 著

osamuoh2009-06-15


ドゥルーズの”逃走論””遊牧民論”などの事を、現代で具現化した職業として、僕などは日本映画などの”トラック野郎”などを思い浮かべたりしたのだが、ドン・デリーロ氏は、それを”リムジン”の車とし、それにコンピュターを内臓させ、金融市場の株を売り買いする車に進化させ、町を失踪する姿として、本書に描いている。



”トラック”より、”リムジン”のほうがカッコ良いので、非常に悔しかった。!



車の中でも、流す音楽は、演歌ではなく、ヒップホップとなっていた。




しかし、主人公は、そこまでカッコ良いのに、何故か死の方向に疾走しており、市場の非人間性や、荒んだ精神構造が非常に痛々しく、不気味で、読んでいて非常に怖かった。




何故人間は、”逃走”しなければならないか、忘れてしまいそうになるが、一応、欲望の資本のメカニズムとシステムが人間を追い詰め、病んだ精神状態に至らしめるからである事を思い出した。