小説の読み方、書き方、訳し方   柴田元幸、高橋源一郎著、

osamuoh2009-04-15



柴田氏が、主にアメリ現代文学を訳している方なので、アメリカ文学を中心に、対談がなされていた。



僕個人の嗜好では、アメリカ文学は非常に苦手なので困っていたのだが、普段から、しっとりした文章や、ヨーロッパの伝統の染み込んだ文章に慣れている者には、”これが文学か?”と驚いてしまうアメリカの小説なのだが、やはり、豊かで、自由と民主主義の夢の大国であるから、関心を持ってしまう。



まるで、砂を噛むような、まったく味気ない文章と、”青年は荒野をめざす!”で有名な、まさしく精神的”荒野”状態なのが印象として残るが、豊かな商品と資本が溢れているはずなのに、まるで”文化的砂漠”なのがちょっと信じられない。



老齢なフランスのあるプロフェッサーが、何故これほどアメリカ文化を警戒するかというと、この文化的砂漠が、フランス人として、ちょっと耐えられないからと述べておられたのを思い出す。そんな、仏国も、一握りのエリート、特権階級が、文化のほとんどを占めていると良く批判の対象になっているのは、有名だ。



文化的”砂漠””荒野”といっても、狭い日本にくらしていると、”荒野や砂漠に憧れる気持ち”もあるので、なんとか、アメリカ文学を理解できるようになりたいものだ。