クレオール主義  今福龍太 著

osamuoh2009-02-23



クレオールというのは、おもにカリブ海流域の島々の人々の事をさすらしいが、ここで述べられている、クレオール主義というのは、文化を規定する”土着性””伝統””人種””民族”などの概念が示す正統性や、純粋性といったものを、不採用にするといった事であるらしい。



言語的には、英語でもスペイン語でも、もちろんそれらのバイリンガルでもない、無数の”交差”のうえにかたちづくられる”混成言語”であり、文化の果てる辺境にある”境界の住人”たちが、文化をブレンドして操り、時代の前衛に現れようとしている、といった事であるらしい。



しかし、僕が驚いたのは、今福氏は、技術、テクニカルの面だけでなく、人間の直接な”混血”を志向しておられ、”混血結合する事”を推奨しておられる事であった。”混血”は国家権力の抑圧をまぬかれやすいといった事を、その理由といてあげておられたようであった。この過激さには、驚かせられた。



しかし、現代のポップミュージックなどの世界を覗いてみると、そこはまさに”混血ワールド”であり、逆に”混血”でないと、仲間に入れてもらえないといったような勢いであるのに気づかされる。



こういった風に考えてみると、実際僕のような人間の、いわゆるアイディンティティなどといったものは、日本人としての純粋性や、伝統を志向するだけの、ただの極右の国粋主義者といったようなものしかあてはまらないようであるのが驚きであり、非常に残念だ。