ジョン・バース著 船乗りサムボディ最後の船旅

osamuoh2009-01-29



やっと、なんとか読み終えた。


シンドバッドの千夜一夜にタイムスリップしたような話と、現実のアメリカでのヨットを楽しんでいる話とが、交互に繰り返される、異常に長いお話であった。


この異常な長さは、当時日本でプルーストなどが、訳されていたりして、作者個人も、かなり、プルーストを意識していた為との事であった。



問題は、このアラビアンナイトであって、当時のアカデミズムではあまり評価の高くない、いわゆる一般的に俗で卑猥な、長い長いお話と言う事で、そんな意味の感じられないお話に付き合わされるのは、大変だという点であった。千夜一夜というのは、面白くないないお話をすると殺されるという、現代の作家にとって皮肉なお話になっているようだ。



バース氏の小説は、どれもこれも、かなりブッ飛んだ小説が多く、たとえ読み終わったとしても、はたしてこれで解ったと言えるのだろうかと、読後の自信をゆるがすような小説が多く、困ってしまうが、文章は、決して暗くなく、むしろ異常なくらい、明るく、ハイテンションな口語体になっていて、その健康さと、わだかまりの無さがうらやましいような、まぶしいような、不思議な感じがする。