バロウズと文章をカットするという事

osamuoh2008-04-21

アメリカの作家、バロウズ氏の作品。



”カット・アップ”と”フォールドイン”という手法が有名らしい。


実際、読んでみた感じでは、いわゆる、長い内面描写や、説明の文章が書かれるべきところを、文章をセンテンスごとに”切断”し、"編集”するという事になっているようだ。

結果的に、”詩”というものを、縦にズラリと並べたような感じになっており、切断された文章と文章のあいだに、縦線を入れてつなげてあった。


そんな事が、何になると云えば反論しようがないが、この切断された文章の連続が非常に小気味良いのだ。プルーストなどの延々と続く心理的描写や、内的独白を読み解くのに苦心したことのある人には、非常に快感を感じるのではないかと思われる。


心理描写は鬱陶しいと常日頃感じている者には、ある一つの回答になるのではと思われた。
読んでみると、まるでイメージとイメージの炸裂であり、その鮮烈さに驚かされる。


しかし、バロウズ氏の内容、道徳モラルについては、まるで弁護のしようがないほど、おぞましい。
批評家の方が、こうした非モラルの事をどのように分析なさっているのかは、良く解らなかった。