ジャンキー

osamuoh2007-07-26

ウィリアム・バロウズの一番最初の作品であるというので、読んでみた。


解説によると、”ほとんど率直な自伝と言ってよいような書き方で、セミ・ドキュメンタリー的な、事実に即した体験記風の小説として書かれている。非情透徹な乾いた文体で、描き出している”  と成っている。


まだ、この作品以降の、新しい技法的な実験は、まだ現れていない。


しかし、計算機の発明家の非常な大金持ちの家庭に育ち、なんの苦労もなく、当たり前のように、ハーウ”ァード大学を出ている。このように、恵まれた人間が、麻薬の売人になろうと、僕などには、なんの同情心も起こりにくいので困る。そのような恵まれた環境であったから、そのように、簡単に、暗黒街に身を置く事が出来たのだと、反感すら感じてしまうので、困る。


しかし、こういう場合、読む者は、救いや、救済を求めてもムダな気もする。クールだか、ハードボイルドだかよく解らないが、とにかく、非情なのだ。それが、何故か悲しい。アメリカの文学は、いくら豊かでも、資本主義というものに、かなり深く苦悩している。そのような、アメリカ的苦悩というのは、田吾作で、貧乏タレの僕には、なかなか理解しがたいのが残念だ。本当に、よく解らない”苦悩”というものが書かれているのだ。

何か、馬鹿にされたような読後感で、残念だ。