プロット・アゲイスト アメリカ


* プロット・アゲンスト・アメリ
         フィリップ・ロス 著
         柴田元幸  訳
         2014年 集英社 刊

もし、アメリカでユダヤ人が、排斥されたら。アメリカとドイツが同盟を結んでいたら大戦はどうなっていたかといった話だった。

ロス氏の作品は、どこからが作者本人の事で、どこからが想像の事なのか、厳密に判別し難くいつも困ってしまう。虚実渾然となって、強い文体でグイグイ進んでいく感じ。

以前のロス氏の作品で、尊敬するベロー氏の作品を、もはや時代遅れだと、主人公に語らせている場面があるが、僕は反対にソール・ベロー氏の作品の新しさに驚いてしまった。だって、一冊の書物の中で、時間が1日も経っていないのだから、驚いた。田舎者の僕は、小説と時間 という事をまだあまり理解していなかったらしい。それと、ベロー氏の作品は モダニズム の真っ最中の時代の作品であり、ロス氏はその後の時代に生きて行くといった事であったらしい。

それにしても、ロス氏の語り口はワイルドだなー。