現代文学論争   小谷野  敦 著

          2010年  筑摩書房 刊

本書では、1960年頃から、2003年頃までの、文学界の主な論争の事が記述されていた。


本書により、”フォニイ論争”という、ナゾの論争が、どういうものであったかようやく理解できた。


僕が不思議に思うのは、菊池寛氏が、何故、高級文学の芥川賞と、大衆小説の”直木賞”と、一つの出版社で、わざわざ二つの賞に分けて受賞する事にしたのかという事だ。これでは、何か、昔のアフリカの”アパルトヘイト”みたいでイヤだなと感じてしまう。もともと、すぐれた作品に与える賞は、一本化すればいいのにと思っていた。


直木賞を受賞した人は、純文学の賞を貰うことは絶対にありえないとか、文学の道は2つに分かれるのだ、など、目の回るような都市伝説のような噂のようなものが聞こえてきて、何か恐ろしかった。

賞は、優れた作品に与えられるものだと、自らを慰めながら、なんとか納得する事にした。