アップダイク氏は、”ハーバード出身”で、典型的な”WASPエリート”であろうと、その代表作を読んでみた。
読んでみた限りでは、予想したような激しい気取りや、エリート意識は無かった。
むしろ、地味で平凡な、中産階級の生活が描かれてあった。
描写は、一応リアリズムに多く則っており、訳者は、人間のこまかな身振り、くせ、息づかいさえも、確実に見極めている目の確かさを指摘しておられる。
1960年頃の出版であるから、描写が少し地味すぎるように思われるが、優雅で澄んだアップダイク固有の画面の美しさを、訳者のかたは指摘しておられた。