ニューアメリカニズム   巽孝之 著

osamuoh2009-12-15




本書で驚かさせれたのは、今日までのアメリカの文学史のすべてが、”白人男性中心主義”であるということを、著者が強く主張している点であった。フォークナーや、ヘミングウェイでさえ、著者にかかれば、所詮白人男性中心主義の枠組み中で書かれたものという事になってしまう。


この”人種、性差、階級”というものを打破する為に、著者は、”体験記”というものを取り上げ、分析されている。



あの、自由と民主主主義で有名なアメリカで、いまだに、人種、性差、階級というものが、厳然と存在するというのが、アメリカのエンターティメントに慣れている者には、以外な気がするのだが、アメリカの文学史をザーと眺めてみると、確かにすべてが”白人男性”の手による作品ばかりであるのに、今更ながらに驚かされる。



しかし、人種、性差、階級というものを、文学的に打破するのに”体験記”というものしか、存在しないという事に、少し不安を感じた。”体験記”といえば、形式的には、ルポルタージュであり、それらは、かってのソビエトロシアで、”社会主義的レアリスム”の名のもとに、ルポルタージュ以外の形式をすべて抹殺した事を連想してしまうからです。これは、僕が古臭い知識しか無い為かもしれない。



”ニューアメリカニズム”とは、”ドキュメント”を重視することと、勝手に解釈してしまって良いのだろうか。僕の読解力では、あまりよく解らなかった。