1Q84 村上春樹  著

osamuoh2009-11-16




多くの人がそう思っているように、僕も、”青豆のカッコ良さ”に驚いた。何か成功しすぎたVシネマを観ているようだった。本来なら、男性が受け持つであろう、ハードボイルドでクールな役回りを、青豆という女性主人公が、すべて体現してしまっているようであり、男性としては、少し自分が情け無くなった。



年代的に、コンピュータも、携帯電話も登場していないのが、不思議な感覚だった。



七人の小人を思わせるような、強烈な幻想、幻覚のようなものも、CG合成の映画や、TVゲームの無かった時代に、特有な現象のように感じられて、ゲームなどがある現代では、そのような幻想もある程度回収されるのであろうかと思われた。



村上氏特有の”僕ちゃん小説”のスタイルを取っていないのが、不満と云えば、不満だった。厳格な文壇で、”僕ちゃんスタイル”を取り続けるというのも、なんらかの意味あることと、勝手に思っていたのだが、大江健三郎氏も一人称のスタイルを取らなくなったので、そういうものなのかと、自分に納得させています。