ハイウェイとゴミ溜め  ジュノ・ディアズ 著

             1998年 新潮社、

作者は、カリブ海の悪夢を描いておられるようだ。

ドミニカとかいう美しそうな島々が、どうして悪夢なのか、ちょっと合点がいかなかったが、著者によると、独裁政権が30年も続いた為と仰っておられる。

作者は、現在、お写真で見る限り、褐色の肌にスキンヘッドで、お髭などを生やしておられ、非常に気品あるダンディな様子であられるが、頭髪は父親に、モジャモジャの頭では恥ずかしいからと、無理やりスキンヘッドにされたとの事であった。子供時代に、ようやくアメリカに入国出来た時、ママが買ってくれる洋服は、いつも一番安い、Tシャツばかりだったという。現在でも、Tシャツやパーカなどが非常に良く似合っていらっしゃる。そんな所が、アジア人の自分には非常にカッコ良く見えて仕方がない。

実際、カッコばかりでなく、現在はマサチューセッツ工科大学に招待されて
教鞭をとっておられるという。極貧の有色人種の移民としては、異例の出世というべきか、まさにヒーローである様子。

僕も、一応、ファンになろうと思ったのだが、作品世界はそんなに甘くなく、まるで暴力小説の様子。何故か、ウルフ女史の、「ジョイスには品がないわよ」という言葉を思い出してしまった。

こういう場合、形式より、内容、政治的告発性が重視されていると、理解すべきなのか、良く解らない。

解説では、南米のマジックリアリズムの影響が感じられるという。南米と言っても、随分暴力的で、何がマジックなのか良く解らない。やはり、政治性は大事なのかな・・・・・・・。残念!