エクスタシー   村上 龍 著、

          1993 年、集英社 刊、

酒とドラッグとセックスの事が描かれているのだが、村上氏の著作を読むといつも思うのですが、それでは、一体正味の健康体とは何だったろうという常識が解らなくなってしまう事だ。酒、煙草を控え、健康を目指して日頃から運動を心がけるという、凄く当たり前の常識が解らなくなり、いきなり大喧嘩がはじまってしまうような、訳のわからない状態に追い込まれてしまうような、ただならぬ感じ。


龍という名前も不思議で、日本の神話では、ヤワタのオロチ伝説の事を思い浮かぶ。所謂、スサノウという神が、大蛇に酒を飲ませて、見事に退治するというお話だが、子供の頃神社でその舞いを見せられ、子供のあいだで流行ったのだが、田舎から、東京に出てきて、関東のほうでは、お酒で弱るどころか、飲ませると元気になる人ばかりで、随分ショックを感じた事がある。


龍氏もまさに、退治できるものならしてみろといわんばかりの、非常なパワーで、創作をしておられるので、恐ろしい。龍氏が酒を飲まされて殺されるという事はありえないだろうし、こういった神話には恨みをもっておられるのかなと、くだらない幼稚な事を思ってしまう。


しかし、薬や、お酒や、セックスへの著者のこだわりは、そうとうに強く一貫しており、尋常では無い。どうしたら良いのだろう。正味の健康な体というものが、わからなくなってしまう。残念・・・・・・!