競売ナンバー49の叫び  トマス・ピンチョン 著、

             1992年、筑摩書房 刊、

迷宮というキーワードが良く使用されるピンチョンだが、海外のお城の庭園のように、迷宮の庭で楽しむなどという、高級な楽しみなどが無い為、最初は面食らう。現在は、まさにコンピュータの基盤のようになった都市だから、そこをさ迷っているつもりになれば良いのではと、思ってみる。しかし、やはり迷子になってしまったようで、不安になり、楽しむ境地にまでは中々達しない。人間性が小さいのかな。・・・・・、

大体、唯の便所の落書きを、国家的組織に関わる事と、思い込んでしまうところからして、病気のようで、偏執狂的で、まともに考えれば様子がおかしく、どうかしている。そのようなパラノイアまでものみ込んでしまい、別にそんなにおかしくは無いといっているような所が、ピンチョンの魅力であるような気がする。

一つ一つの逸話が、夢の自由連想のように紡がれていくので、まるで、ラウシェンバーグのコラージュ作品を見ているかのような感じ。