オーギー・マーチの冒険   ソ-ル・ベロウ 著

               1981年  早川書房 上下刊


まず、タイトルについてですが、まずマーク・トゥエインのトムソーヤーの冒険などを思い浮かべる方も多いと思われるが、識者、専門家でそのような事を指摘している方は全くおられず、僕などは、トムソーヤーの冒険や、ハックルベリフィンの冒険などに対する、作者の強いアイロニーの現れではないかと推測したのだが、どうやらそのような事とは全く関係無いらしい。、、、残念。


内容としては、主人公が、何故そのような不毛、意味のない事にばかり巻き込まれていくのかが、全く理解できず、ベロウ氏最初の記念すべき全米図書賞の作品なのだが、そのあまりの不毛な行動ばかりに主人公が没入していく様子が、全く理解できなかった。僕個人の解釈では”資本主義を舐めるなよ!”という事ではないのかと、推測してみた。が、識者、専門家の方は、あまりそのようなな事は述べておられないようであり、良く解らない。


ベロウ氏の作品には、内面を重視したような、緻密な描写が多いように思われるが、そのような描写も既に時代遅れになっているらしい。資本というものは、個人の内面などどうも思っていないという事か。何か恐ろしい。