非情の女豹     1980年 角川書店 刊、

女豹の掟      1988年 角川書店 刊、
蘇る女豹      1998年 角川書店 刊、
           大藪春彦

大藪氏の”女豹”シリーズは、この3作だけらしい。


精神科医斎藤環氏によると、こういった戦う女性に惹かれる男性の心理は、”ファリック・ガール”に魅せられているというらしい。”ファリック・ガール”とは、要するに”ペニスを持っている女性”の事を意味し、現実にそのような女性は存在しないのだが、何故か強くそのようにペニスを持った女性としてイメージする願望があるらしい。


ごく最近の映画では、”ターミネーター”の”サラ・コナー”、”エイリアン”の”シガニー・ウィーバー”、”トゥムレイダー”の”アンジェリーナ・ジョリー”、”バイオハザード”の”ミラ・ジョブォビィッチ”、などが非常に有名らしい。日本では、緋牡丹シリーズの藤純子、さそりシリーズの梶芽衣子、必殺剣の志穂美悦子が歴史的に有名らしい。


しかし、大藪氏の車の描写、ピストルに関する描写、ちょっと正気ではないような暴力的殺人の描写には、歳のせいか、はなはだ食傷気味になってしまった。


本書では、ペニスを持ったかのような非常にキワドイ美女が、ふんぞり返っている男たちの、誘惑を受けたり、拷問を受けたりした時に示すセックスの反応が、美女のサディッスティックな本能を強烈に刺激すると述べられているのだが、一般に女性のセックスにそのようなサディスティックな面があるのかどうかは、少し疑問に思える。これも弱い男性の儚い願望だろうか・・・・・・・・・、