父の遺産     フィリップ・ロス著 1993年刊 集英社


ロス氏の父親が最後を迎える姿が、淡々とした筆致で描かれていた。



自分も身につまされる事なので読んでみた。



訳者の柴田氏は、なんのフィクションも無い、ただ事実だけが淡々と描かれているので、驚いたとの事であった。訳者は、父の最期に対して、ロス氏の文学的技法などすべて無駄であるというような、ロス氏の一種の文学の敗北宣言であると理解されているようであった。


しかし、アメリカ人であるロス氏が、アメリカのニューアークという都会で、死というもを向かえる様が、なんとなく男性的で、ドライな感じがするのが不思議であった。日本的な情緒に馴れていると、少し不思議なワイルドさに驚かされる。