ストリートの思想  毛利嘉考 著

osamuoh2009-08-03




批評家の東浩紀氏は、本書の読後感を、自身への批判と受け止めつつも、すがすがしい感じがすると述べておられたようなのだが、僕は読んでいて、不謹慎にも”ゲロを吐きそう”になってしまいました。



それは、多分、本書で書かれている事は、すべて”違法”であるように思えてしまうからです。



”道路”とは、本来誰のものかと問われて、素朴に考えて、多分”国家”のものであり、多分”企業”のものであると、素朴に思えてしまうのです。本書を読んでいて、通常”道路”上において、人間に許されているのは、最低限、”通行”するだけであるなあと、気持ちが悪くなってしまうのでした。



テレビでドラマばかり観ているだけの僕のような者は、ストリ−トを楽しく歩いていて、何処からとも無く、ミッキーマウスが握手をしてくれたり、ピエロさんが風船を渡してくれたりとか、そのようなイメージが当たり前のように、頭の中にインプットされているので、そのような事は、夢なのだと言う所から、考えなおさねばならないのが、ショックであり、惨めであった。



毛利氏は、そのような”ストリート”を、音楽によってダンスするような、人間の情動としての身体が、共感するような場所として、人々に、人間に、取り戻せと、訴えておられる。



”ストリート”と聞いて、甘いイメージしかしない自分にショックを感じた本書の訴えであった。